技術解説

光学濃度(OD)の読み方|OD4は透過率0.01%、仕様書の注意点

光学濃度(OD)と透過率の関係を、OD1〜OD6の早見表で解説。OD4はどれだけ光を通さないのか、仕様書を読むときの波長・公差・測定限界の注意点もまとめます。

聞き手:遮光フィルムや遮光インキの仕様書を見ていると、「OD4以上」という書き方をよく見かけます。ODという数字そのものが、いまひとつ実感できません。OD4というのは、光をどれくらい通さない状態なのでしょうか。

解説:OD4は、当たった光のうち1万分の1しか通さない状態です。透過率でいうと0.01%にあたります。ODは「光学濃度」を意味する英語 Optical Density の略で、光をどれだけ遮るかを対数で表した数字です。

聞き手:対数ですか。数字が苦手なので、少し身構えてしまいます。

解説:難しい計算は出てきませんので、安心してください。ここからは、ODと透過率の関係、仕様書で見落としやすい点、遮光のしかたによる違いを順に見ていきます。まずは、ODがどんな数字なのかからです。

ODは「何桁ぶん光を減らすか」を表す数字

光の帯が6枚のガラス板を通るたびに細くなっていく様子。板を通るごとに光が弱まり、最後はごく細い筋だけが残る
板を1枚通るたびに光が弱まっていくイメージ(実際の減り方の比率を正確に描いたものではありません)

聞き手:ODは、具体的にどう決まる数字なんですか。

解説:透過率を T(0から1の間の数)とすると、ODは「Tの常用対数にマイナスをつけたもの」です。式で書くと OD = −log10(T) になります。フィルターメーカーのセムロック(Semrock)の説明でも、ODは透過率の対数(底10)の符号を反転したものと定義されています。

聞き手:逆に、ODから透過率を出したいときはどうしますか。

解説:式を逆向きにして、T = 10 の(−OD)乗とします。エドモンド・オプティクスの技術資料では、パーセントで表した透過率は「10の(−OD)乗に100%をかけたもの」と書かれています。たとえばOD1なら10%、OD2なら1%です。ODが1増えるたびに、通る光は10分の1になります。

聞き手:1増えるごとに10分の1、ということは、増え方がだんだん大きく感じられそうですね。

解説:そこがODの便利なところです。セムロックの解説では、透過率が6桁、つまり100万倍も変わる範囲を、0から6までのODという小さな数字で表せると説明されています。透過率のままだと「0.0001%」のように小数点以下の0が並んで読みにくくなります。ODなら桁数をそのまま数字で読めるわけです。

聞き手:なるほど、ODは「小数点以下に0が何個つくか」を数える数字なんですね。では、OD4を具体的な数字で見せてもらえますか。

解説:次の章で、表にしてみます。

OD1からOD6までの透過率を並べてみる

聞き手:ODの値ごとに、どれくらい光が通るのかを一覧で見たいです。

解説:先ほどの式 T = 10 の(−OD)乗に当てはめて計算した結果が、次の表です。

OD透過率通る光の割合遮られる光の割合
0100%そのまま0%
0.3約50%約半分約50%
110%10分の190%
21%100分の199%
30.1%1000分の199.9%
40.01%1万分の199.99%
50.001%10万分の199.999%
60.0001%100万分の199.9999%

聞き手:OD0.3が「約半分」というのは、少し中途半端な数字ですね。

解説:10の0.3乗がおよそ2なので、ODが0.3増えると透過率がほぼ半分になります。エドモンド・オプティクスの商品ページでも、濃度値が0.3増えると、写真のしぼり1段ぶん(透過率が半分)にあたると説明されています。ODに0.3や1という数字が出てきたら、「半分」や「10分の1」に読み替えると感覚をつかみやすくなります。

聞き手:OD3とOD4では、どれくらい違うんでしょうか。数字だけ見ると1しか違いません。

解説:通る光の量でいえば、10倍違います。OD3は1000分の1、OD4は1万分の1ですから、OD4はOD3の10分の1しか光を通しません。「OD3以上」と「OD4以上」は、仕様書の上では1違いでも、遮光性能としてはまったく別の水準です。

OD早見のポイント

  • ODが1上がると、通る光は10分の1になる
  • ODが0.3上がると、通る光はおよそ半分になる
  • OD4は透過率0.01%(1万分の1)、OD6は0.0001%(100万分の1)
  • 透過率は T = 10 の(−OD)乗で求める

聞き手:表の右端の「遮られる光の割合」を見ると、OD3でも99.9%も遮っていますね。OD4との差はほとんどなさそうに見えます。

解説:遮る割合で見ると、そう感じますよね。ところが、遮光部材が守りたいのは「通ってしまう光」のほうです。通ってくる光は、強い光源の近くでは迷光(本来の光路から外れて像に混ざる余計な光)の原因になり得ます。0.1%と0.01%では、通る光の量が10倍違います。遮光性能は、遮る割合ではなく、通る光の量で比べるのが基本です。

聞き手:見る側の数字を入れ替えるわけですね。重ねて使うときは、また別の計算になるのでしょうか。

解説:実は、重ねる場合にもODは便利です。次の章で見てみます。

ODは足し算できる

聞き手:フィルターを2枚重ねたら、ODはどうなりますか。

解説:足し算です。エドモンド・オプティクスのよくある質問のページには、ODが0.6と0.9のNDフィルターを重ねると、合計のODは1.5になり、全体の透過率は3%になると書かれています。透過率のままだと掛け算ですが、ODなら足し算で済みます。

聞き手:透過率のまま計算しても、同じ答えになるんでしょうか。

解説:それぞれの透過率を掛け合わせても、同じ結果になります。ODなら、重ねた枚数ぶんを足すだけで済みます。同じ技術資料には、OD0.3とOD1.5を重ねる例もあります。合計はOD1.8で、透過率は1.58%です。計算に慣れていれば、暗算に近い感覚で見積もれます。

聞き手:それなら、OD2のフィルターを2枚重ねれば、OD4が作れそうです。

解説:理屈の上ではそのとおりです。ただ、この足し算が成り立つのは、基本的にフィルターが光を「吸収」するタイプのときです。反射で光を減らすタイプは、重ねたときに反射光がもう一方に当たって、思わぬところへ戻っていきます。エドモンド・オプティクスは、反射型を重ねるときは、戻り光を減らすためにフィルターどうしを平行にしないよう勧めています。

聞き手:反射型と吸収型で、そんなに扱いが違うんですか。

解説:遮った光が「どこへ行くか」が違います。これは仕様書のODの数字だけでは見えない部分なので、後の章で詳しく見ます。その前に、数字そのものを読むときの落とし穴を確認しましょう。

仕様書のODを読むときの注意点

聞き手:仕様書に「OD4」と書いてあれば、それで安心してよいのでしょうか。

解説:実際には、ODの数字だけで判断すると見落とすことがいくつかあります。確認したい点を、表にまとめました。

確認する点見るポイント根拠となる資料の例
波長どの波長(範囲)でのODかエドモンド・オプティクスのNDフィルターは、遮光する波長域を400〜700nmと表記
平均か最小か範囲内の平均値か、下限値か同じ商品ページの仕様表は「光学濃度(平均)」と表記
公差表示値からどれくらいずれるか同じ商品は公称値の±10%の公差
測定の限界その高いODを測れる装置で測ったかセムロックは波長ごとの測定ノイズの下限を公開

聞き手:波長というのは、光の色のことですね。ODは色ごとに変わるんですか。

解説:変わることがあります。ODは、どの波長の光に対する値なのかを示して使うものです。エドモンド・オプティクスのNDフィルターは、遮光する波長域を400〜700nmと明記しています。これは可視光のおおよその範囲で、この外側の波長についてまで同じODが保証されているわけではありません。

聞き手:使う光の波長が決まっているなら、そこだけ見ればよいのでしょうか。

解説:そのとおりです。仕様書にODが書いてあるときは、「その数字は、自分の使う光の波長で成り立っているか」を確認するのが基本です。波長の記載がない場合は、メーカーに問い合わせて確かめると確実です。

聞き手:「平均」と「最小」の違いも気になります。

解説:エドモンド・オプティクスの仕様表では、OD0.3のNDフィルターに対して「光学濃度(平均)」と書かれています。平均値で示されている場合、範囲の中には平均より低いODの波長もあり得ます。遮光部材として使う場合は、範囲の中でもっとも光を通してしまう波長のODが、実際の性能を決めます。

聞き手:±10%の公差は、OD4だとどのくらいの幅になりますか。

解説:OD0.3のNDフィルターの商品ページでは、公称値の±10%の公差と書かれています。この公差をそのままOD4に当てはめると、ODは3.6から4.4の間です。透過率になおすと、約0.025%から約0.004%までと、およそ6倍の幅になります。ODの小さな違いが、通る光の量では大きな差になる、という点は覚えておいてください。

よくある誤解

  • 「OD4以上」と書かれていれば、どんな波長の光でも1万分の1以下になるとは限らない
  • 公差のある数字は、ODのわずかなずれが透過率では大きな差になる
  • 反射型のフィルターのODは、光を「消した」のではなく「戻した」結果である場合がある
  • 高いODの値は、測定できる装置で測られたものかどうかも確かめたい

聞き手:最後の測定の話は、どういうことでしょうか。数字は測れば出るものだと思っていました。

解説:光をほとんど通さない部材は、通ってくる光が非常に弱く、測定装置自身のノイズに埋もれてしまいます。セムロックのよくある質問のページでは、320から1120nmの範囲で、透過率が3e-7(OD6.5)付近かそれ以下だと、測定ノイズで限界になると説明されています。320nmより短い波長と、1120から1500nmの範囲ではOD5.5、1500nmより長い波長ではOD5.0が、それぞれ測定ノイズの限界です。

聞き手:同じ装置でも、波長によって測れる限界が変わるんですね。

解説:はい。同社の別の資料では、あるメーカーの市販の測定装置のデータは、OD3を超えると正確でないと書かれています。これはメーカー自身が測定システムを紹介する資料の中の記述なので、数字は参考情報として受け取るのが適切です。それでも、ODが高くなるほど「どうやって測ったか」が重要になるという点は、同じです。

聞き手:数字が大きいほど、測る側の条件にも目を向ける必要があるんですね。では、遮った光はどうなるのかも気になってきました。

解説:次は、光の行き先の話です。

反射型と吸収型:遮った光はどこへ行くのか

左は金属膜付きのガラス板に当たった光が大半が跳ね返って光源側へ戻る様子。右は色のついたガラス板に光が入り、内部で弱まって消えていく様子
反射型(左)は光を跳ね返し、吸収型(右)は光を材料の中で弱める

聞き手:同じOD4でも、光の遮り方が違うとおっしゃいましたね。

解説:エドモンド・オプティクスの技術資料では、NDフィルターを反射型と吸収型に分けています。反射型は、ガラスの上に薄い膜(多くは金属)をつけたもので、光を主に光源の側へ跳ね返します。吸収型は、ガラスそのものが一定の割合で光を吸収します。

聞き手:数字の上では同じODでも、跳ね返された光はどこかへ残るわけですね。

解説:そのとおりです。反射型は、跳ね返った光が装置の別の場所に当たって、予想外の迷光になることがあります。エドモンド・オプティクスも、反射型を使うときは反射光が用途の邪魔にならないよう注意が必要だと述べています。遮光の目的が「余計な光を消すこと」なら、光を材料の中で弱める吸収型のほうが向く場面が多いのです。

聞き手:カメラのレンズの中で、黒いインキを塗って遮光するのも、吸収型の考え方ですか。

解説:黒い塗料は、光を吸収して反射を抑える方向で働きます。レンズの縁や鏡筒の内側に塗るのは、迷光を戻さないための工夫です。レンズの内部で迷光がどう生まれて、どう抑えるかは、遮光インキとは?迷光を断つしくみと光学濃度(OD)の基本でくわしく解説しています。レンズ内の反射については、ゴースト・フレアの正体|レンズ内反射の原因と抑える技術も参考になります。

聞き手:ODの数字だけでなく、材料がどう遮っているのかまで見るわけですね。そろそろ全体を振り返りたいです。

解説:最後の章で、要点をまとめます。

まとめ

聞き手:ここまでの内容を、あらためて振り返ってもらえますか。

解説:ODは、透過率の常用対数にマイナスをつけた数字で、OD4は透過率0.01%、つまり1万分の1しか光を通さない状態です。ODが1増えるごとに通る光は10分の1になり、フィルターを重ねたときはODを足し算できます。仕様書を読むときは、波長、平均値か最小値か、公差、測定の限界、そして反射型か吸収型かをあわせて確認すると、数字の意味を取り違えにくくなります。

聞き手:最後に、この数字を実際の部材選びにどう生かせばよいか、ヒントをもらえますか。

解説:「OD4以上」と書かれているときは、まず自分の使う波長でその数字が成り立つかを見てください。そのうえで、必要なODを透過率に直し、通ってよい光の量と照らし合わせます。Corporation NW は、遮光インキ HD6(遮光性能 OD4以上)を取り扱っています。ご関心があれば、製品・サービスをご覧ください。

手順

  1. 使う光の波長(範囲)を決める
  2. 仕様書のODが、その波長で示された値かを確かめる
  3. 必要なODを T = 10 の(−OD)乗で透過率に直す
  4. 公差と測定条件を見て、余裕を持たせる

よくある質問

OD4は透過率でいうとどれくらいですか。

OD4は透過率0.01%、つまり当たった光の1万分の1だけを通す状態です。ODと透過率は T = 10 の(−OD)乗の関係にあり、ODが1上がるごとに通る光は10分の1になります。

ODが0.3違うと、どれくらい差がありますか。

ODが0.3増えると、通る光はおよそ半分になります。エドモンド・オプティクスの商品ページでも、濃度値0.3の増加は写真のしぼり1段ぶん(透過率が半分)にあたると説明されています。

フィルターを2枚重ねたとき、ODはどうなりますか。

ODは足し算になります。エドモンド・オプティクスの資料では、ODが0.6と0.9のフィルターを重ねると合計がOD1.5、透過率は3%になる例が示されています。反射型を重ねるときは、戻り光に注意が必要です。

仕様書のODは、どの波長でも同じですか。

同じとは限りません。ODはどの波長に対する値かを確かめる必要があり、NDフィルターの商品でも遮光する波長域が400〜700nmのように示されています。自分が使う波長で成り立つ値かを確認してください。

ODが高い部材は、どうやって測るのですか。

光をほとんど通さない部材は、測定装置のノイズが限界になります。セムロックは、320から1120nmの範囲ではOD6.5付近が測定ノイズの限界になると説明しています。高いODの値は、測定条件とあわせて見るのが安全です。

出典・参考資料

  1. What is optical density? (Semrock FAQ)
  2. Working with Optical Density (Semrock)
  3. KolaDeep Spectral Measurement System: Measure Deeper Blocking (Semrock)
  4. Understanding Neutral Density Filters
  5. Can I place ND filters back to back and increase optical density?
  6. 0.3 OD 25mm径 ND フィルター

この記事は Corporation NW 編集部が、公開されている資料をもとに AI を使って作成し、出典を確認したうえで掲載しています。対話の登場人物は、説明のための設定です。

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